ヤブツルアズキ(藪蔓小豆)
ヤブツルアズキ(藪蔓小豆)は、マメ科ササゲ属のつる性の一年草。
アズキは本変種の分類上の基本種(基準変種)になるが、系統的には本変種から東アジアで栽培化されたものと考えられている。
茎は長さ3m以上になり、つるになって他にからみつき、全草に黄褐色の開出する粗い長毛が生える。葉は互生し、長い葉柄のある3出複葉で、頂小葉は側小葉より大きい。小葉は狭卵形から卵形で、長さ3-10cm、幅2-8cmになり、縁は全縁か浅く3裂し、先端は急に鋭くとがり、基部は鈍形で短い葉柄がある。葉の両面に黄褐色の長毛が生える。葉柄の基部に托葉があり、狭卵状長楕円形で長さ7-10mmになり、粗い毛が密生する。
花期は8-10月。葉腋から花序柄を出し総状花序の変形である偽総状花序をつけ、2-10個の花をつける。萼は4裂する。小苞葉は萼より長い。花冠は黄色で、長さ幅ともに15-18mmになる。旗弁は左右非相称で、竜骨弁は2枚が合着して2分の1から4分の3回転し、右側の翼弁は竜骨弁を抱き、左側の翼弁は左側に突き出た竜骨弁の距にかぶさる。雄蕊10個と雌蕊1個は竜骨弁の中にあり、同様に曲がる。竜骨弁と花柱の先端は嘴(くちばし)状に伸長する。果実は線形の豆果で垂れ下がり、無毛、長さ4-9cm、幅約4mmになり、6-14個の種子を入れ、緑色から黒緑褐色に熟し裂開する。種子は短円柱形または長楕円形で、長さ3-5.5mm、幅2-4mm、厚さ2-3.5mmになり、アズキより小さい。色は褐色から暗紫褐色で、へそは線形で仮種皮は細く、盛り上がらない。
日本では、本州、四国、九州に分布し、原野の草地に生育する。日本国外では、朝鮮半島、中国大陸、ベトナム、ミャンマー、ネパール、ブータンに分布する。
和名ヤブツルアズキは、「藪蔓アズキ」の意で、基本種(基準変種)のアズキは栽培種で茎が直立し、つる性にならないのに対し、本変種は野生種、すなわち「藪に生えるつる性になるアズキ」、「藪蔓小豆」を意味する。
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